塾をやっていると、たまに「天才か?」と思う英文に出会います。
いや、もちろん文法的には間違ってるんですよ?
でも、その英文には日本人の“本音の処理”が丸出しになっていて、私は結構好きなんです。

昨日も塾生が、They don’t have to outと書いていました。
「外に出なくても良い!」
と言いたかったらしいです。惜しい。惜しすぎる。でも、これを見て私は笑いながらも、「あー、日本人だなぁ…」と思いました。頭の中ではたぶん、out = 外don’t have to = 〜しなくていいここまでは来てるんです。
そして脳内では、
「外!行かなくていい!!」
という“言いたい気持ち”が爆発している。しかし、その勢いが強すぎて、
「誰がどう移動するのか?」
という英語最大の問題児、“動詞”が吹き飛ぶ。結果、They don’t have to outが誕生する。いや、気持ちは分かる。めちゃくちゃ分かる。日本語って、
「外出なくていいよ」
でも成立するんです。主語も薄い。動詞も軽い。雰囲気で通じる。でも英語は違う。英語は、
「お前、どう動いたんだ?」
をしつこいくらい聞いてくる。だから本当は、They don’t have to go out.になる。英語は「go」が欲しい。“外”だけでは満足しない。
「どう外へ行くんだ?」まで要求してくる。
ほんと細かい。別の塾生はもっと強かった。
「道を間違えて運転する」
を英語にしたくて、may wrong the roadと書いていた。これも私は好きです。もう、“言いたい”が全面に出ている。wrong = 間違いroad = 道
だから、
「道を間違える」
↓wrong the road!!という、力技。日本語脳としてはかなり自然なんです。だって日本語は、道を間違える名前を間違える時間を間違えるみたいに、「間違える」を万能動詞として使えるから。
しかし英語は、そんな万能感を許さない。英語はすぐ分けたがる。go the wrong waytake the wrong roadmiss a turnなど、
「どのタイプのミスなのか?」
を細かく分類したがる。めんどくさい。でもここで私は思うんです。日本人は英語が苦手なんじゃない。“言いたいこと”が強すぎる。
だから脳内ではまず、
「外!」
「道!」
「間違えた!!」
が先に走る。その後に来るはずの、文法論理動詞選択が置き去りになる。つまり英作文で起きているのは、
「知識不足」
だけではなく、“感情の暴走”なんです。でも私は、この「暴走」は悪いことじゃないと思っています。むしろ、
「英語で何かを伝えようとしている」
証拠だから。最初から完璧な英文なんて作れません。まずは、言いたい!伝えたい!何とか英語にしたい!これが先。その後で、
「あ、英語は go が必要なんだ」
「wrong はそのまま動詞化しないんだ」
と修正していけばいい。英語学習って、最初からエレガントに始まるものではありません。だいたい最初は、“感情で殴る英作文”から始まります。